導入実績

Case

加工食品販売管理システム

データコンサルテーション
業種 食品メーカー

食品会社様の加工食品販売管理システムの見直しのために、「TM(T字形ER手法)」の有効性を計る取り組みを実施しました。

現行業務のデータモデル解析とプロトタイプ構築
~モデリングによる事業可視化とモデル評価・有効性の証明~

課題

旧来システムの問題

管理する商品数は履歴を含めて10万件規模となっています。
多種多様な商品を管理するため、多段階の階層構造になった商品分類や、出荷時の包装形態などを含めた情報を管理しています。
しかし現行システムではデータ構造の問題によって、性能面や保守管理面での問題が発生していました。
例えば商品情報の履歴を、連番の値を主キーとして管理していましたが、論理的に同一である商品の紐付きが不明瞭で管理効率の悪化を招いていました。
業務運用の中で例外業務に対応するために人手によるデータメンテナンスを実施していましたが、このデータ構造の不明瞭なことが要因となり、結果として不整合なデータを生成することになっていました。
これらの問題に対するアプローチとして、まずは「TMD(T字形ER図)」で商品管理の事業を可視化することにより、現行システムのデータ構造が抱える問題点を洗い出し、その解決に向けた対策をご提示すること、
さらにTMDを元にRDBへ実際のデータを移行して、現行システムと同等機能を備えた商品情報配信バッチ処理機能のプロトタイプを構築することで、TMDを利用した業務システム構築の有効性を証明することを求められました。

データ解析手順、新たに見つかった課題

(1)現状調査、TMDによるモデリング
現行システムのデータ構造を解析し、TMDのルールに忠実に従った適切なデータモデリングを実施しました。その結果、自然と正規化されたデータ構造が導き出されます。
現行システムは、1テーブルに一括で多数の管理項目を持つ非正規形のデータ構造で、管理項目間の論理的な関係が分かりにくいものとなっていました。
さらにシステム変更に伴うデータ構造のメンテナンスが滞り不要(未使用)な項目を多数持つようなテーブルも散見されました。
(2)TMD評価
TMDのモデリング後、RDBへ実際のデータを移行することを前提として、TMDの網羅的な評価・検証を実施しました。
(3)プロトタイピング
評価・検証後のTMDを元にしてRDBにデータベースを構築し、現行システムのデータを移行し、プロトタイプを構築しました。
現行システムの商品情報配信バッチ処理機能に関しては、機能詳細設計レベルの問題で、無駄に負荷の高いSQLを何度も発行する実装となっており、プログラムの実装とメンテナンスされないドキュメントが乖離していく悪循環がこの問題に拍車をかけていました。
プロトタイプ構築においては、RDBのインデックスを有効利用する高度な技術力により、正規化されたデータベースでも高いパフォーマンスが実現しました。

報告概要

TMDによる正規化で管理項目間の関係を洗い出し、適切に(ルール上当たり前に)配置することで、業務全体を把握し易くなり、特に業務にとって主要なデータが明らかになりました。
問題となっていた商品情報の履歴管理については、商品を一意に表すコードと有効開始日・終了日の日付で物理的な履歴を管理する形でTMDを展開し、結果として商品に紐付く各種情報の関係がシームレスに見通せるようになりました。
TMDの網羅的な評価・検証を実施することで、即業務システムの構築に繋がる設計図として高品質のTMDを提示することができました。
TMDがプログラムやSQLの実装においても最重要ドキュメントとなるため、適切な詳細設計記述の粒度が維持でき、インデックスを最大限活用するSQLを自然と導き出します。
その結果、現行システムと同等機能を備えた商品情報配信バッチ処理機能のプロトタイプ構築をごく短期間に実現し、より効率的に高パフォーマンスなシステムが実装可能であることを証明しました。

お客様の声

データ構造の解析、データベース物理設計から製造、テストまでを通じて徹底的なTMDの利用により、1か月での効率的な業務解析とプロトタイプ構築を実現しました。 データモデリング自体については、TMDのルールが明確であるため属人性を排した記述が可能なことと、データの論理的構造が解り易いこと(可視化)のメリットが評価されました。 パフォーマンスについては、RDBの機能を十分に引き出すことができれば処理を速く実行できることが確認されています。 SQLを実装するにあたり、正規化されたテーブルを自在に使いこなす技術面のハードルが高いのではないかというご指摘を受けたことも付け加えておきます。